無我夢中で目の前のことをこなしていく毎日だった。
ある日の準夜勤務(0時~9時)で、20時頃に外来待合室にいる女性がいた。
以前から時々見かけていて気にはなっていたが、直接には関わることがなかった。
夜間の受診者が途切れた時に声をかけた。
「どうかされましたか?」すると笑顔で首を横に振った。
70代後半か、水筒のお茶を飲みながらあんぱんを食べている。
少し話しを聞けば、一人暮らしで寝る前になると寂しくなり眠れないと言う。
近くに住んでいるので、ここで小一時間ほど過ごして帰ると眠れるらしい。
待合室でいろいろな人を見ると、自分は幸せだなと思うと話した。
私としては、このまま本人の意思を尊重したい気持ちだったが、
これでいいのか、帰るように言うのか、上司の判断を仰いだ。
上司は特に体が不調なところはないようだし、帰る時にはきちんと受付に挨拶して
帰宅されると聞き安心し、気持ちがいいなと感じた。
後から聞けば他のスタッフは承知で見守ってたと言う。
私だけが周りを見てなかったんだと、これからは少し周囲を意識しようと思った。
勤務引継ぎが終わり、清々しい気持ちで帰路についた。
今思えば、気づかなかったが関わりがあれば自然と、地域密着支援を行われていて、
のどかな時代だったな。
現在、時代は変わり、何でも分けて対応が主流で、うまく当てはまる人はいいが、
なかなか合わずに不自由や不満を感じている人も多いように思う。
昨今と違いの大きさを感じる。